2009-01-01から1年間の記事一覧

31. かがなべて(2)

第27回目の続きを話すね。甲斐(かひ)の国、酒折宮(さかをりのみや)で、倭建命(やまとたけるのみこと)の問い歌「新治筑波を過ぎて幾夜か寝つる」に対して、御火焼(みひたき)の老人(おきな)は「かがなべて夜には九夜、日には十日を」と答えたけど…

30. 枯野という船(2)

長いので、二、三回に分けようかと思ったけど、分けると前後を参照しにくくなり、又ひとまとまりであるほうが分かり易いところでもあるので、このままで出すことにするね。 「枯野(からの)」という船のことは、日本書紀では「応神(おうじん)天皇」の巻に…

29. 「お酒」のこと、など

骨休めと思って「お酒」のことを「Memo」として書き始めたけど、長くなったので、「ヤマトタケルの話の筋」の間に挟む一回分とするね。 「シロップ」(英 syrup, sirup)と「シャ−ベット」(英 sherbet)とは、語源(=詞源)が同じで、 アラビア語のこ…

28. ヤマトタケルの話の筋(8) 枯野という船(1)

今回は「かがなべて」の説明に入ることになっていたけど、その前に先回云った「枯野(からの)という船」のことなど、もう少し話しておかないといけないので、今日とそれにあと一、二回くらいしたあとで「かがなべて」のことに入ることにするね。それに今度…

27. ヤマトタケルの話の筋(7) かかなべて(1)

火焼の老人の返しは、 かがなべて、夜には九夜、日には十日を とあるけど、今までその「かがなべて」の方については、ほとんど触れて来なかった。 この「かがなべて」と云う、たった仮名五つの一句は、あとに続く「夜には九夜、・・・」と同じく、意味深だ。…

26. ヤマトタケルの話の筋(6) 九夜十日(3)

前回に述べたタケルの問い歌の中にある幾つかの音に込められた「火」や「燃える」のことについてヒントを出すような感じで、古事記は「御火焼(みひたき)の老人(おきな)」を出す。 そうやって、その「火焼(ひたき)」の「タキ」(TK)に注意を向けさせ…

25. ヤマトタケルの話の筋(5) 九夜十日(2)

先回、「九夜十日」について説明を始めたけど、あまり細かに話すと却って分かりにくくなるということもあるので、今日はごく簡単に整理してみて、それからいろいろと必要なところの説明を足して行ってみるね。 下の方に「印欧語」ということをあまり聞いたこ…

24. ヤマトタケルの話の筋(4) 九夜十日(1)

ヤマトタケルの話を編んでいる「NK,NG」と「TK,TG」のコトバはあとの回で一覧するね。 今日はその「NK,NG」と「TK,TG」が甲斐(かひ)の国の酒折宮(さかをりのみや)に入って、「九夜十日(ここのよ・とをか)」として出てくる様子を見…

23. ヤマトタケルの話の筋(3)古事記の中のヒント

週刊誌などに出ているクイズで、「正解は何ペ−ジの下に」などと書いてあるけど、古事記のヤマトタケルの話の筋を読み解くための「一対の子音」については、そのヒントの一つがヤマトタケルの話の終わりのところで、タケルが白鳥になって天に飛んで行った、と…

22. ヤマトタケルの話の筋 (2) 出雲建

ヤマトタケルは西の方への遠征で輝かしい成果を挙げたけど、天皇のもとに還ってきて、休む間もなく東の方への遠征を命ぜられた時、ようやく天皇の真意を悟り始めるの。 今回のは、西の方の遠征から意気揚々として帰ってくる、まだ心の痛みを知らないヤマトタ…

21. ヤマトタケルの話の筋(1) 弟橘媛

古事記のヤマトタケルの話では、「九夜十日」の他に「日数」のことが二回出てくる。それは、 「五日(いつか)」と「七日(なぬか)」 なのだけど、「七日」は今は「なのか」とも多分「なぬか」とも云うけど、ここでは一応「なぬか」にしておく。 景行天皇が…

20.「一対の子音」と「古事記の話の筋」

「古事記」の話の筋って、変なところが多くて、どうしてそういう風な筋になるんだろう、と誰でも思う。 「ヤマトタケル」(=「倭建命」(やまとたけるの・みこと))の話があるのは、「景行天皇」のところだけど、そこにある「ネギ」(泥疑)と云うコトバの…

19.「一対の子音」と「掛け」

「鎌を掛ける」の技法で、人麻呂がとてもリラックスして作っている歌があるの。 その歌はこういう風に云っている : 「この岡で草を刈っている坊や(=わらは(わ))、そんなに刈ってしまわないでね。そのままでも、あのお方がいらっしゃれば、お馬が食べる…

18.「二鷹」

前回は「一富士」と「三茄子(なすび)」について、そのエコーとして、セム語の或る言語のコトバである「フズ」(huzz)と「ナシャブ」(nashab)のことを話したけど、残りの「二鷹」の「タカ」のエコ−は、 「運」とか「幸運」の義のギリシャ詞「トゥケ−」(tuch…

17. 一富士二鷹三茄子

「一富士二鷹三茄子(なすび)」については前回ちょっと話したけど、その説明のためにもう一度「柿本人麻呂」の「安騎(あき)の野」の歌を見てみて、「一富士・・」についてはそこから入ることにするね。 この歌は長歌に続く「短歌四首」で一まとまりになっ…

16.「あさかやま」の歌(3)

「一富士(いち・ふじ)、二鷹(に・たか)、三茄子(さん・なすび)」、というのは、これらが初夢に出てくれば、いいことがある、ということだけど、今まで話して来たことでもって、これはひょっとして、「フジ」(富士)、「タカ」(鷹)、「ナスビ」(茄…